立ち読みコーナー
▲ニューヨーク流 たった5人の「大きな会社」(神谷秀樹 著)

書籍写真 ニューヨーク流 たった5人の「大きな会社」
神谷秀樹 著
本体価格 1,700円

 マンハッタンとは「働くための街」であると思う。世界中の人々がこの街に働きに来る。そして働いている人々がみな「活き活き」としているように見える。冬の朝、どこかの交差点に立って、白い息を吐きながら横断歩道を渡り、足早に職場に向かう人々の姿を見てみるといい。コーヒーをすすりながら歩いている人、インライン・スケートで職場に向かう人、いろいろな人がいる。その誰もが「さー、これから張り切って仕事をするぞ」という緊張感を持ち、それぞれに一生懸命生きているような表情をしている。そんな街を散歩している犬たちでさえ、私には活き活きとして見える。私はそんなマンハッタンの雰囲気がとても好きだ。
 この街で働くようになって一七年が過ぎた。最初の七年はゴールドマン・サックスという大きな投資銀行で働いた。それから現在のロバーツ・ミタニ(創設した当時の名前は「ミタニ・アンド・カンパニー・インク」)という投資銀行を一人ぼっちで設立し、やがて仲間が一人、二人と増えてきて、今日に至っている。また合弁会社や出資先もできてきて、マンハッタンには内四社が拠点を持っている。マンハッタンは、私たちが仕事をする本拠地であり、そして私たちが今行っている仕事を続ける以上、この街以外に本拠を置きうる所はない。この街から飛行機に乗り、カリフォルニアへ、東京へ、ソウルへ、フランクフルトへ、チューリッヒへと出かけて行く。またそれらの街から顧客が訪れ、面談し、交渉し、もてなし、仕事を進める。大西洋を跨いだ仕事も、太平洋を跨いだ仕事も、どちらもこなすことができる。まさに世界の中心と呼べる、たいへん地の利のいい街である。