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「シェルパ」と道の人類学

「シェルパ」と道の人類学
著者 古川 不可知
価格 3,520円(税込)
発売日 2020年2月22日
判型 四六判
製本 上製
頁数 368頁
ISBN 978-4-7505-1634-9
Cコード C0010
電子書籍発売中

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内容紹介

ネパール東部、ソルクンブ郡。エベレストの南麓にあたる北部のクンブ地方は、“勇敢で忠実な山岳民族”と謳われるシェルパの人々の居住地である。標高三〇〇〇メートルを超えるこの険しい山岳地帯では、山道は天候によって質感を変え、しばしば土砂崩れや降雪によって流失しては再び姿を変えて現れる。

ヤクを追うシェルパたちが自給自足に近い暮らしを営んでいたこの地域は、次第に山岳観光の名所として知られるようになり、現在では年間数万人もの観光客が訪れるようになった。シェルパの人々はヒマラヤ登山の手助けをして働くようになり、ネパール各地からはポーターやガイドなどの職を求めて、「シェルパ」を名乗る多様な出自の人々も集まってくる。

変転する自然環境のなか、観光客のために道を見出しながら山中をゆく彼らとの出会いは、存在をめぐる根源的な問いへと通じていた――「世界」「自己」の自明性をゆるがすフィールド体験をもとに、ティム・インゴルドらの議論を補助線にして気鋭の人類学者が描き出す、刺激的なエスノグラフィ。

世界を歩むとき、自己は道であり、道は自己である

われわれは世界のうちで無数の人やモノや事物と対等な関係のなかで生を営んでおり、人間社会とはそのうちの一部を恣意的に切り出したものに過ぎない。そしてわれわれが一歩を踏み出すとき、自己の身体は他者の身体やモノや概念からなる環境中の諸要素とそのつど一回的な関係を取り結び、道のアレンジメントの一部となる。世界を歩むとき、自己は道であり、道は自己である。(本文より)


【書評・メディア情報】
ヤマケイオンライン(4月14日)/紹介
NHKラジオ「マイあさ!」(4月19日)/「著者からの手紙」に出演
日本経済新聞(4月25日)/書評(石井美保氏・京都大学准教授)
建築討論(5月1日)/書評(長谷川新氏・インディペンデント・キュレーター)
日本海新聞(5月10日)/書評(中谷礼仁氏・早稲田大学教授)
神戸新聞(5月10日)/書評(中谷礼仁氏・早稲田大学教授)
岩手日報(5月10日)/書評(中谷礼仁氏・早稲田大学教授)
熊本日日新聞(5月10日)/書評(中谷礼仁氏・早稲田大学教授)
大阪日日新聞(5月10日)/書評(中谷礼仁氏・早稲田大学教授)
京都新聞(5月17日)/書評(中谷礼仁氏・早稲田大学教授)
佐賀新聞(5月17日)/書評(中谷礼仁氏・早稲田大学教授)
山と渓谷(5月号)/紹介
山陽新聞(6月28日)/書評(中谷礼仁氏・早稲田大学教授)
週刊読書人(7月24日)/2020年上半期の収穫から(長谷川一・明治学院大学教授、メディア論、メディア思想、文化社会学)
週刊読書人(7月24日)/2020年上半期の収穫から(小川さやか・立命館大学先端総合学術研究科教授、文化人類学、アフリカ研究)
2021年
本がすき。(7月7日)/書評(馬場紀衣氏・文筆家、ライター)

著者紹介

古川 不可知(ふるかわ・ふかち)
1982年埼玉県生まれ。国立民族学博物館学術資源研究開発センター機関研究員。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。専門は文化人類学、ヒマラヤ地域研究。訳書にR・ウィラースレフ『ソウル・ハンターズ ――シベリア・ユカギールのアニミズムの人類学』(奥野克巳らとの共訳/亜紀書房)、論文に「「仕事は探検」」『日本山岳文化学会論集』第14号(2016年)、「職業としての「シェルパ」をめぐる語りと実践」『年報人間科学』第36号(2015年)。「インフラストラクチャーとしての山道」『文化人類学』第83巻3号(2018年)などがある。単著としては本書が初となる。

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