現松本市長の菅谷昭さんは、5年半もの間、チェルノブイリ原発事故の被災地で、医療支援活動をした医師です。甲状腺がんにかかった子どもたちの治療にあたってきました。いまも現地の支援を続けています。
菅谷さんは、福島原発事故のあと、原発事故の被害を知る医師として、また行政のトップとして、さまざまな発言をマスコミに発信してきました。チェルノブイリの被害を知っているものとして、黙ってはいられなかったからです。

「核の災害は、自然災害とはまったく違います。最悪の事態を予測して、先へ先へと手を打っていくことが大切です。最終的に予測より悪くならなければ、『ごめんなさい、でもよかったね』と、喜び合えばよいのです」

この発言には菅谷さんの事故に対する危機意識が表れています。とにかく早めの対処が大事であると。そしてこうも言っています。

「チェルノブイリ事故の被災地で、人びとの体に健康被害が現れてきたのは、5年後のことでした。これから日本で起きてくるであろうさまざまな問題を最小限にくいとめるためにも、一人ひとりが放射能の正しい知識を得て、正しい判断をできるようになってほしい」

まずは個人として、しっかりと放射能の知識をもってほしい。そのために本書はわかりやすく、必要最低限のことが書かれています。

そして、さらに国への提言も盛り込まれています。

地方自治体や国に向かって、してほしいことをみんなで声をあげていきましょう。
でも、希望をすてないこと。チェルノブイリの子どもたちのなかには、いまは立派な大人になって、お母さんになった人もいるのです。

『子どもたちを放射能から守るために』には、菅谷市長の切実な思いがちりばめられています。発売約2週間で3刷りが決定。地元長野でも評判になっています。

菅谷市長の活動はますます広がっています。たとえば、こんなふうに。
「情報を開示して子供と妊産婦を守れ」(金融ファクシミリ新聞)

一刻もはやく、きちんとした情報開示がなされることを望んでやみません。

(編集A)