末井昭のダイナマイト人生相談 末井昭

2016.11.28

08人生相談(その8)

 

 みなさま、もうすぐ年末ですね。そろそろ忘年会の準備で大忙しといったところでしょうか。え? 悩みが深すぎて忘年会どころじゃない? 何一つ忘れることができない? そんなときは……末井さんを呼んでみましょう。忘年会の余興にひとつ、末井さんを。いかがでしょうか。

 この連載では随時みなさまの悩み相談を受け付けています。みなさまの人生のお悩み投稿をお待ちしております。それでは、本日のお悩みのご紹介です。

 

【相談1】

 私は身長が170センチある50代の女です。モデルの方の様に華奢なわけでもなく、美人なわけでもない60kgの私は、日本ではかなり大きく、悪目立ちしてしまうため、ちょっとした失敗でも大きな失点になりやすく、また、生意気にも見える様でつらく当たられることも多々ありました。その積み重ねでどんどん性格的にも萎縮して行き、今では生きていくことがとても苦しいのです。自死したくなる自分のたった一つのスットパーは他人に迷惑をかけずに自死することができる方法を思いつかないことなのです。正直バカみたいな人生ですよね。

(夜が明けてもさん/50代/女性/会社員)

 

【回答】

 AKICHI_COLUMNLOGO_SUEI08-150x240 (2)えっと、何が相談なのかよくわかりませんが、自殺したくなるまで追い詰められているわけですから、その悩みを取り除かないといけませんね。
 あなたは、自分の体が大きいため悪目立ちしてしまって、人からつらく当たられているようですが、すべての悪いことを、自分の体が大きいことに集約させているように思います。ぼくは身長180センチありますけど、身長170センチってそんなに目立ちますか? 60Kgというのも、身長に合ったちょうどいい体重ではないかと思いますけど。
 あなたが生きづらいのは、あなたの体が大きいことが原因ではなく、他に原因があるのではないかと思います。あるいは、何も原因がないのに、あなたが勝手に悩みを作り出しているだけかもしれません。
 ものごとを自分に都合のいいように解釈する人と、悪いほう悪いほうに解釈する人がいます。ぼくは前者のタイプですが、あなたは後者のタイプではないかと思います。身長が高いということは、世の価値観からすればいいことです。身長が低いことがコンプレックスになっている人はいますが、身長が高いことにコンプレックスを感じる人はあまりいません。だけどあなたは、満員電車に乗っても楽とか、スタンディングのライブに行ってもステージがよく見えていいとかではなく、悪目立ちしてしまう、生意気に見えると考えてしまうのです。
 ぼくの弟は、某有名カツラメーカーの営業をやっていました。もう何十年も前の話ですけど、若ハゲの息子を持つ母親から依頼があって、その家に営業に行ったときのことです。その息子は引きこもりで、学校の成績が悪いのも、女の子にモテないのも、就職がうまくいかないのも、みんなハゲのせいにしていて、自分の部屋に何年も引きこもっていたそうです。母親が見かねて弟の会社に電話してきたのですが、見積もりをするため、弟がメジャーを取り出しハゲの面積を測ろうとしたら、物をぶつけられたそうです。ハゲのせいで何もかもうまくいかないのだったら、カツラを付ければいいだけの話ですが、それはプライドが許さないということです。
 その息子も、おそらくものごとを悲観的に考える人で、よくないことの原因をすべてハゲに集約していたのです。いまはハゲでもスキンヘッドにすればカッコいいので、ハゲで悩む人は少ないかもしれませんが、自分のちょっとしたコンプレックスをどんどん大きくしていき、そのことが諸悪の根源のように思っている人が意外と多いのではないかと思います。
 あなたの文章からは、あなたがどんな嫌がらせを受けたのかわかりませんが、もしぼくが想像していることが少しでも当てはまっていると思ったら、どんなことでも考え方次第でよくも悪くもなるということを頭に置いておいて欲しいと思います。実際そうなのですから。

 

【相談2】

 末井さん、こんにちは。私は現在38歳で42歳の妻がおりますが、10コ下に歳が離れた女性と2年間ほど不倫関係にあります。不倫相手とはもともと風俗店を介して知り合い、しだいに外でも肉体関係を持つようになったというような経緯です。妻には一切バレてはいないと思いますが、日に日に罪悪感が強くなっていき、今では自分の意志の弱さを後悔するようになっています。最近は不倫相手と会う頻度もだいぶ減っていますが、正直なところ関係を断つまでは至っていません。意志の弱さを克服するにはどうすればよいのでしょうか。

(たぬいさん/38歳/男性/会社員)

 

【回答】

A05 不倫多いですね。この人生相談にも不倫の悩みがよく寄せられます。世の夫婦の半分ぐらいが不倫してるんじゃないですか? 中にはお互い不倫している夫婦もありますね、きっと。
 ぼくも30代~40代のころは不倫ばかりしていました。もちろん、妻には内緒です。
 あるとき、会社の帰りに不倫相手と会う約束をしていたのですが、うっかり忘れてしまい、そのまま家に帰ってしまいました。家でくつろいでいると、電話が鳴りました。妻が電話に出たのですが、僕に受話器を渡しながら、「なんだか、女の人が怒っているみたいだよ」と小声で言うので、そのとき初めて約束を忘れていたことを思い出しました。おそるおそる電話に出るとやはり会う約束だった相手で、「私をなんだと思ってるのぉ~~~~!」と怒鳴っています。妻の前で言い訳もできないのでどうしようか迷ったのですが、気がついたら電話線を引きちぎっていました。妻が驚いて「何すんのよぉ~~~!」と叫びました。
 まだ携帯電話が普及していないころだったので、不倫相手に家の電話を教えていたのですが、本人がかけてくるのはルール違反です。よほど頭にきていたのだと思います。
 このときは絶対バレたと思いましたが、「あの電話の人、付き合ってる人じゃないの?」と言う妻に、「そんな人いるわけがない」「あれは頭のおかしい人だ」とシラを切り通しました。たとえバレバレになっていても、本当のことは絶対言わないでおこう、言うと妻が悲しむことになる、言わないことが妻に対する愛だ、と勝手に思っていたのでした。実際は、本当のことを言って家庭が崩壊することが怖かったのです。
 不倫相手は3人いました。付き合い始めてから何年も経っているので、その人たちと会うのが義務のようになっていました。会う約束を忘れてしまうぐらいですから、もう恋愛の残骸のような状態だったのですが、怖くて別れようと言えないままズルズル付き合っていました。相手が怒り出したり、家庭をぶち壊されたりすることが怖かったからですが、あとから考えたら、自分が冷たい男に思われるのが嫌だっただけかもしれません。
 不倫を楽しんでいる人もいるとは思いますが、ぼくの場合は不倫地獄で、会いたくなくても会わなければいけない義務感のようなものや、妻に対する罪悪感や寝不足で、自分がどんどん弱くなっていきました。
 人間の心は絶えず揺れ動くもので、意志というものはもともと弱いものです。意志が強くなるのは、揺れない心を獲得したときで、ぼくの場合は、この人と一緒に暮らしたいと思う人が現れたときでした。
 その人と暮らすことになって、不倫相手のみなさんには事情を話して別れてもらいました。別れ話を切り出すのが怖かったのにすんなり言えたのは、壊される家庭がなくなったこともありますが、自分の意志が強くなったからだと思います。一発ぶん殴られる可能性が高い相手もいたのですが、その人が「いい人が見付かってよかったね」と言ってくれたので驚きました。こんなことなら、もっと早く言っておけばよかったと思いました。その人も、本当はぼくとの関係に飽き飽きしていたのだと思います。それなのに、自分がいつまでも愛されていると勘違いして、彼女を傷付けることはしたくないと思っていただけのことです。
 妻とは30年近く暮らしてきたので、情がからんで別れるのはつらかったのですが、それまで絶対言えないだろうと思っていた離婚の話も切り出すことができました。
 結論を言うと、心が揺れ動いているうちは何もかもが中途半端になり、相手の気持ちに振り回されるだけですが、自分でこうしたいという決心が固まったときは意志も強くなり、別れ話も切り出せるということです。あなたはまだ、不倫相手と別れるのか、このままの関係を続けるのか、奥さんと別れて不倫相手と一緒になるのか、自分の中で考えがはっきり決まっていないから、ズルズルいまの関係が続いているだけで、今後も同じだと思います。そして、自分は意志が弱いと決めて、そこに逃げているだけではないですか?

 

【相談3】

 私は昔からよく「ぶりっこ」だと言われます。実際、自分自身そのことをある程度自覚しています。裏表も人並みにある方だと思います。過去にはそれを理由にいじめられたりもしました。妬まれたりすることもありました。私は生まれつき声が鼻にかかったアニメ声です。そのことで得したと思うこともあります。損したと思うこともあります。ただ「ぶりっこ」だと他人に言われても何が悪いのかピンときません。そもそも「ぶりっこ」はなぜいけないことだと言われているのでしょうか。末井さん教えてください。

(あみたんさん/35歳/女性/フリーター)

 

【回答】


名称未設定 1 ぼくは昔、女装していたことがあるのですが、女装のときは「ぶりっこ」の演技もしていました。だから「ぶりっこ」が悪いとは思っていません。人から可愛く見られるのは気持ちがいいことです。
「かわい子ぶりっこ」だけでなく、社会に出ればみんな「ぶりっこ」をしています。会社の重役などは偉そうな演技をしたり、詐欺師は人のよさそうな演技をしたり、ヤクザは凶暴な演技をしたりして生きています。そういう演技をしていると、だんだん板についてくるもので、みんなそれなりに見えてきます。
「ぶりっこ」は、そういう演技に違和感があって、ちょっと気持ち悪いときに遣われる言葉ではないでしょうか。大人が子どもっぽいマネをするとか、舌っ足らずな話し方をしたりすると、確かに気持ち悪いところはあります。それも板についてくると本当に可愛く思えてくるもので、そうなるまで頑張って「ぶりっこ」を続けてください。

 

 

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(第8回・了)

 

 

この連載は月1更新でお届けします。
次回2016年12月26日(月)掲載