2000万円足りない人の、とりあえずの500万円 佐藤治彦

2020.2.8

04得したいと思う心が損を招いていませんか?

 

 2月になると毎年思います。2月はとても寒いです。本当に寒いです。しかし、12月下旬と比べると確実に昼間の時間が長くなり、街の木々には芽が出てきます。友人から今年の花見はいつにすると連絡が入ったりします。桜を見る会じゃないですよ(笑)。寒いけれど、確実に春が近づいていることも感じさせてくれるのが2月です。だから、少しワクワクするものです。皆さんはどうでしょうか。では、今月の質問です。

Q  あなたの洋服ダンスにある洋服の中で、2年以上着ていない洋服は何割くらいありますか? 履いていない靴は何足ありますか? いま冷蔵庫の中に入っている食材を全部言えますか?

 テレビのコマーシャルで、×年も着ていないんなら、もう着ないよ。買い取ってもらったら?♪〜 着物を売るなら、ルンルンルン! と言うのがありますね。あのコマーシャルを聞いてドキ! とされた方は結構多いのではないでしょうか。 
 今月考えていただきたいことは、ズバリ! ムダ使いです。家族どうしなら人の買い物に「また、ムダなものにお金を使って」などと小言を言うこともあります。ムダなものって何でしょうか? いろんな考えかたがあるとは思うのですが、誰もがうなずいてくださるのは、使わないものにお金を使うこと、だと思います。タンスにある洋服のうち、礼服など特別な時に着るものを除いて、日常着る衣類でローテーションに入らないものは少なくありません。ローテーションに入らないということは着ない服です。私は、Tシャツなどの衣類を買うと、まずは外に着ていきます。外に着ていく時、例えば、渋谷や新宿で人と会う時にはみすぼらしい格好で行くのは相手に失礼ですから、自分の好みだけで決めないようにしています。近くのコンビニやスーパーに買い物に行く、郵便局で書留や小包を出す時は清潔で自分好みの服装でいきます。こうして買った服はローテーションに入っていきます。それまで遠出の服装だったものは、ご近所でのちょっとした外出用のローテーションに格落ちしていくわけです。
 こうして、何年かローテーションの中でそれこそ何十回も時には100回以上も着て洗濯していくと、Tシャツなどは首回りなどがよれてきます。ダラーンとしてしまうのです。しかし、着込んで肌にも馴染んでとても着心地がいいので、特に気に入ったものだと、アイロンがけして、首回りをシャキッとさせる手間もかけます。しかし、コットン100%の生地はそのうちダラーンとなるだけでなく、ほつれていきます。若い人はいいかもしれませんが、私のような年齢になると、もう外に着ていくことはできません。しかし、肌には馴染んでいるので、もうしばらくは家着にします。そうやってもう一役買ってもらったあとに、お役御免です。愛着があるので捨てがたいこともありますが、取っておくことはしません。時には画像だけ残して捨てます。台所の汚い油汚れを吸い取ってもらう雑巾がわりにしてゴミ箱に捨てる。そんな時もあります。
 着てない服なら山ほどある。そんな人はたくさんいるでしょう。他にもほとんど聞かなかったCD、ほとんど使わなかった化粧品、いろいろあります。それだけではありません。買ったけれど食べなかったもの。賞味期限で捨ててしまった缶詰、スイーツ。冷蔵庫の奥で腐ってしまった買ったことさえ忘れていた食材たちがどれだけ多いことでしょう。日本では食べものの半分くらいは捨てられるそうです。ただ、この半分というのは重さベースなので、例えば、果物の皮とか、食べもののうち食用には適さないから捨てた部分も入ってはいるようです。それは仕方ないですね。でも、食べられるものを捨てるのはもったいないです。
 着ない服、食べなかった食料。それらは最終的にゴミになったわけです。つまり、お金は大切に使わなくちゃ、節約しなくちゃと生活しているのに、捨ててしまえば、ゴミにお金を払ったのと同じなのです。何で着ない服、食べない食料にお金を使ってしまうのでしょうか? 多くの事例を見て思うのは、それは欲しいもの、必要なものを買うというよりも、例えば、知らない間に買ってしまったということが多いのではないかと思うのです。お財布が緩んでしまって買ってしまったといってもいいと思います。その多くが「お買い得」というものです。バーゲンや限定セールで、買っておいたほうが得と誘導されてたいして欲しくもないもの、要らないものも買ってしまうのです。商品を売る側は、謝恩セールなどと言って日頃のご愛顧に感謝してバーゲンをいたしますなどと言いますが、私はあまり信用していません。確かにほとんど割引にならないものが安くなることもあるのですが、大多数は、当初の価格では売れないから安くしているだけです。例えば、今シーズンの流行の洋服が最初は2万円で売られていた。それが売れないから1万円と5割引にしてもらったとしても、その洋服の価値に2万円もあると誰もが認めなかったから売れなかっただけです。ところが、その半額の1万円で買ってる人の気持ちは複雑です。2万円だったものが1万円で買えるとは、1万円得したわ! と思って買ってしまうのです。私は質問したいです。その商品は2万円だったら買いますか? 買いませんでしたよね? あなたはその商品に1万円の価値しか認めてないのです。それに、2万円では思ったように売れなかったから1万円になってるだけです。もしかしたら、誰も2万円では買ってないのかもしれません。それは、元々の2万円という価格自体が間違いだったのです。それに、流行の洋服をシーズンの途中で買ったらどうでしょう? もう着られる時期は相当過ぎていますね。
 よく7月も半ばに入ると、水着のバーゲンが始まりますが、シーズンも半分になって、そろそろ海ではクラゲが出る頃になって安くされてもなあと思います。本当に欲しいのなら、元値でシーズンの初めに誰よりも早く買って思う存分、楽しんだ方がいいのではないか、と思うのです。買う側は半額、割引という言葉に本当に弱いのです。人間誰でも少しでも得したいと思ってるものです。その心のちょっとダークな部分を利用して売られるのがバーゲンだと思うのです。
 食料品もそうですね。冷蔵庫の奥でしまってあって腐ってしまうもの、食材の棚で長いこと手をつけずに賞味期限が切れてしまうものは、買ったその日に必要だったものではなく、安いから買っておこう、そのうち使うだろうと買ったものばかりです。もしくは、1個300円だけれど4つなら1000円だよ、と言われて4つ買ってしまう。必要なのは2個なのだけれど、と思いつつ買ってしまう。食品はどんどん古くなる。生鮮食品なら味は落ちる。そのうち買ったことも忘れてしまう。挙げ句の果てに……こんなことを繰り返していませんか?
 バーゲンが悪いなどとは申しません。私も安いのは大好きです。しかし、安いからと言って要らないものを買わない。そのくせをつけなくちゃいけないのです。それは、買う前に、この商品は割引がなくても要るもの、欲しい商品だろうか? そこをもっと考えてもらいたいのです。定価でも必要な商品が20%引きになってる。それで初めてお得なのです。それが、いつ使うか分からない要らない商品を割引だからと言って買うから不要なものまで買ってしまうのです。
 家にあるものを買ってしまうこともあります。買ったものを忘れてしまっているのです。買い物に行く前に冷蔵庫の画像をスマホで撮ってから出かけてくださいなどと言われますが、そんなの無理です。冷蔵庫の奥にあるものが一番やばいものですが、冷蔵庫を開けてスマホで画像を撮っただけではそういう商品は写りません。冷凍庫の奥で眠ったままの冷凍食品のことなど、すっかり忘れてしまっているのが常なのです。買ったままタンスの奥にある肌着やソックス、日用品のことまで分かるわけがありません。
 いったいどうしたらいいでしょうか。皆さんはどんな工夫をされていますか? よろしければ、メールやお手紙で教えてください。今月は無駄なものは買わない。バーゲンという言葉に惑わされない。1ヶ月、じっくり考えていただいて、この続きをお話ししたいと思います。でもですね、まったく家に在庫をなくしてしまう、今日や明日、食べるだけの物しか買わないというのもどうかと思うのです。例えば、私はミネラルウォーター2リットルのボトルは常に12本以上ストックがあります。東日本大震災の時に一気に水が売り切れて知り合いの小さなお子さんをお持ちの方が困ったのを知って、そのときに水を差し上げたらすごく喜んでくれた。自分も助かったという思いがあるからです。適切なストックは欲しいですよね。気がついたらなかったというのは困るので必要な食材も日用品、衣類も適度なストックは必要だと思うのです。
 では、また来月!


また、ご質問のメールをもらいました。今月はこれです。

 佐藤さん、初めまして。
 毎月、ベイFMの朝の番組のコーナー、拝聴しております。57歳独身男性です。私も多くの人同様、老後の生活に不安が有ります。なにぶん経済音痴なこともあり、佐藤さんのアドバイスは本当に頼りになっております。
 現在、私、月々5万円の積み立て定期預金をしておりますが、最近よく耳にするIDECOに切り替えた方がよろしいでしょうか?
 お忙しいところ、恐れ入りますがお手隙の時にアドバイスいただければ幸いです。


佐藤から

 ベイエフエムのラジオを聞いてくださってるとのこと。ありがとうございます。最近、ゲストでよく呼ばれるものです。次回は2月14日金曜日の朝7時10分過ぎから40分過ぎまで出演する予定です。ぜひ、聞いてくださいね。57歳の独身男性からの質問です。5万円の定期預金をイデコに切り替えた方がいいかということです。私はラジオで話したり書籍で書いていることは一般論なのですが、ご質問を受ける時には、その人、ひとりのための答えをしたいのです。それは、この方が、他にどんな資産をお持ちで、仕事をして収入があるのか。それを何歳までするのか。そういうことが分からないと質問に答えられないのです。それに、イデコで何に投資しようとしているのかもわかりません。イデコを用いれば税金を得することもありますが、税金で得しても元本で損をしたら元も子もありません。あまり勉強したくない、どうしたらいいか分からないくらいなら、まずは損をしない定期預金の方がいいと思います。近年のシニアの人があってる詐欺事件の多くは、もっと得したい、もっと増やしたいと思う欲があるのに、それに見合った勉強をしなかったことから来ている悲劇が多いと思うからです。投資も運用も身の丈にあったものが一番いいというわけです。 
 また、相談するのに出来るだけプライベートなことは言いたくないんだという人もいるかと思います。そこで、まずは私の書いた『しあわせとお金の距離について』『普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』を読んで頂けるでしょうか。基礎的なことを知りたかったら若い人向けなのですが『若いサラリーマンが知っておきたいお金の教科書』もおすすめです。



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亜紀書房・編集部:akichi@akishobo.com

(第4回・了)

この連載は月1回更新でお届けします。
次回2020年3月8日(日)掲載