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二極化する学校 公立校の「格差」に向き合う

二極化する学校
著者 志水 宏吉
価格 2,200円(税込)
発売日 2021年8月20日
判型 四六判
製本 並製
頁数 328頁
ISBN 978-4-7505-1708-7
Cコード C0037
電子書籍発売中

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内容紹介

 
《「選ばれる学校」、「選ばれない学校」の分断を乗り越えるために》
「学校選択の自由と多様化」を名目にすすむ公立校の統廃合。そして、社会的・経済的に「学びの機会」に恵まれない子どもたち――。


《教育は、だれのものなのか》
機会均等により学力向上を追求した戦後の「メリトクラシー」から親の経済力と価値観が子どもの学力を決める「ペアレントクラシ―」へ。
学区制廃止、中高一貫校の導入などで広がる学校の二極化と学力格差……。


《「公正」の原理こそが、公立学校を蘇生させる》
PISA(OECD生徒の学習到達度調査)で上位成績を収める国々は、いずれも学力格差を縮める施策を採っている。しかし、日本では格差是正の動きはほとんど見られない。「成果主義」「競争主義」を掲げる方向性が変わらなければ、教育現場での努力にもおのずと限界がある。
「卓越性を求める教育」から「格差をなくす教育」へと舵を切るために、今できることとは何か?


公教育のより良い未来のために新たな道をさぐる提言の書




【目次】
■ まえがき

〈Ⅰ部〉
1章 メリトクラシーからペアレントクラシーへ
 1 大きな歴史の流れの中で
 2 学校の二極化とは何か?
 3 学校教育は公共財か、私的財か
 4 公正と卓越性――関係性の変容

2章 新自由主義的教育改革とは何なのか?
 1 そもそも新自由主義とは
 2 新自由主義的教育改革の典型例――サッチャー教育改革について
 3 日本への導入
 4 新自由主義をめぐるせめぎあい

〈Ⅱ部〉
3章 お受験狂想曲――卓越性をめぐる親子ぐるみのたたかい
 1 はじめに
 2 「教育を選ぶ」人とはだれか
 3 中学受験
 4 習い事
 5 「お受験」の現状
 6 「お受験」を支える人々

4章 学校選択制のいま
 1 イギリスの教育は動いていた!
 2 日本の学校選択制の草分け――品川区の事例
 3 学校選択制の盛衰
 4 遅れてきた大阪市?!
 5 考察――根づかなかった学校選択

5章 小中学生の学力格差――学校間格差の顕在化
 1 「学力の二極化」から「学校の二極化」へ
 2 「2こぶラクダ」化の克服――「効果のある学校」の存在
 3 国際学力データによる学校間格差の検討
 4 学力向上策との関係性――茨木市の事例から
 5 学校選択との関係性――大阪市の事例から

6章 高校の学区制――高校教育の変動の視点から
 1 戦後高校教育の発足――高校三原則
 2 学区制の歴史的変遷の全体像
 3 高校教育の展開のなかで――1950年代から90年代まで
 4 21世紀に入ってからの大きな変化
 5 まとめ――本音が理念を上回る

7章 高校教育の現在――卓越性と公正のはざまで
 1 私学優勢――高校における卓越性
 2 高校の階層構造――ローレンの研究から
 3 生徒文化はどう変わったか
 4 高校教育の「多様化」――政策の流れ
 5 卓越性と公正のバランス――大阪府の事例から

8章 多様化か、複線化か――学校体系のゆくえ
 1 複線型学校体系と単線型学校体系
 2 高等専門学校――中級技術者を育成する
 3 中等教育学校――公立部門の復権を目指して
 4 義務教育学校――卓越性と統廃合ニーズ
 5 学校体系は複線化したのか

〈Ⅲ部〉
9章 より公正な教育を求めて――学力格差を撃つ
 1 はじめに
 2 海外ではどうなっているか
 3 日本ではどうなっているか
 4 まとめ

10章 公教育のこれから――アミタリアンをつくる
 1 教育機会確保法の時代
 2 「しんどい層にとっての学校」からの展開
 3 公教育の理念を考える
 4 やわらかい学校システムをつくる
 5 おわりに

■ 参考文献
■ あとがき


【書評・メディア情報】
現代ビジネス(10月31日)/著者インタビュー
■NHKラジオ第一「マイあさ!」(11月7日)/著者出演
2022年
■聖教新聞(1月11日)/書評掲載
■日本教育新聞(5月16日)/書評(都筑学氏・中央大学名誉教授)
■「教職研究」(8月号)/紹介






【おすすめの1冊】
志水宏吉『「つながり格差」が学力格差を生む』
貧富の格差が、学力格差を生むのではない。家庭、地域、学校での、子どもたちと周囲との「つながり」格差が学力に強く影響する。
「つながり」という画期的な視点から、これからの日本の教育の進路に欠かせない論点を提示する。

著者紹介

志水 宏吉(しみず・こうきち)
1959年兵庫県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了(教育学博士)。東京大学教育学部助教授を経て、現在、大阪大学大学院人間科学研究科教授。専攻は、学校臨床学、教育社会学。『学校にできること』(角川選書)、『変わりゆくイギリスの学校』(東洋館出版社)、『学校文化の比較社会学』(東京大学出版会)、『検証 大阪の教育改革』(岩波ブックレット)、『「つながり格差」が学力格差を生む』(亜紀書房)、『学力を育てる』(岩波新書)、『学力格差を克服する』(ちくま新書)他、著書多数。

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