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凍てつく川を越えて逃げる スターリン体制を逃れたウクライナのドイツ人

凍てつく川を越えて逃げる
著者 鈴木 健夫
価格 2,970円(税込)
発売日 2025年9月5日
判型 四六判
製本 上製
頁数 272頁
ISBN 978-4-7505-1886-2
Cコード C0022

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内容紹介

◤生きのびるため、信仰を守るため、銃弾をかいくぐり、川を渡った◢

オランダから北ドイツを経てロシアへ移り住み、困難な開拓の末に平和で豊かな暮らしを手に入れたメノー派の人々。
だが、国家体制の激変とともに、飢饉と暴力、粛清が襲いかかる。
国外脱出のほか、生き延びる道は残されていなかった──。

いま戦火に覆われているウクライナの地で、かつて何があったのか。
半世紀にわたり、史料の奥に息づく人々の生きる姿を見つめ続けてきた歴史家が、踏みつけられた者たちの声なき声に耳を澄まし、その叫びと願いを甦らせる。

***

  私たちは、ロシアを去る決断をした。
  ただひとつの危険は、監視を強めている国境警備隊に見つかること。
  見つかれば命はない。
  しかし、私たちには失うものは何もない。
  ロシアに留まれば飢え死にすることは確実だ。
  子供たちが食べるものがなくて泣き叫ぶのを聞くのはつらい。
  これ以上、恐れるものは何もない。


  ──ヤコブ・ノイフェルトの日記


***

【目次】
序章  メノー派とは

Ⅰ オランダからドイツ北部、そしてウクライナへ
第1章 オランダからドイツ北部へ
第2章 ドイツ北部からウクライナへ

Ⅱ ウクライナでの生活
第3章 良き時代──一九世紀半ばまで
第4章 ロシア化政策、産業発展、反ドイツ人感情
第5章 苦難の時代──第一次世界大戦、社会主義革命、内戦、大飢饉

Ⅲ スターリンの圧政とメノー派移民の抵抗
第6章 スターリンの圧政とメノー派移民の抵抗──西シベリアの状況
第7章 モスクワ経由の北アメリカ移住に立ちはだかる困難

Ⅳ 凍てつくアムール川を越えてハルビンへ
第8章 凍てつくアムール川を越えてハルビンへ

Ⅴ 新しい世界への移住
第9章 ハルビン難民のアメリカ移住
第10章 ハルビン難民のパラグアイ・ブラジルへの出発
第11章 パラグアイとブラジルにおける入植活動

おわりに
謝辞
参考文献

***

著者紹介

鈴木 健夫(すずき・たけお)
早稲田大学名誉教授。著訳書に『ロシアドイツ人──移動を強いられた苦難の歴史』(亜紀書房)、『帝政ロシアの共同体と農民』(早稲田大学出版部)、『近代ロシアと農村共同体―改革と伝統』(創文社)、『近代ヨーロッパの情熱と苦悩』(共著、中公文庫)、『ヨーロッパ人の見た幕末使節団』(共著、講談社学術文庫)、ゲルマン/プレーヴェ『ヴォルガ・ドイツ人 : 知られざるロシアの歴史』(共訳、彩流社)、M.ウェーバー『ロシア革命論Ⅱ』(共訳、名古屋大学出版会)などがある。

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