まるごとマルタのガイドブック 林花代子

2017.12.22

01私がマルタの虜になった理由

 青い海にふりそそぐ太陽の光、静かな石造りの街に息づく人々の暮らし――地中海に浮かぶ小さな島国、マルタ共和国。バカンスや語学留学先として、近年日本でも大きな注目を集めています。日本ではまだ数が少ないマルタのガイドブック、その名も『まるごとマルタのガイドブック』の著者の林花代子さんは、語学留学を経験してすっかりマルタの虜になってしまったひとり。マルタのどこにそんなにも惹かれたのでしょうか? ガイドブックには書ききれなかったマルタへの思いを綴っていただきました

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林花代子・著『まるごとマルタのガイドブック』(小社刊) 

 

◆私を魅了した正体

 みなさん初めまして。『まるごとマルタのガイドブック』の著者の林 花代子です。私は、37歳の時に会社を辞めて行った、語学留学で訪れたことがきっかけとなりマルタに魅了されました。それまで、訪れるどころか、名前も知らなかった国です。

 マルタの魅力を挙げみてと言われれば、美しい世界遺産の街並み、世界最古とも言われる謎に満ちた神殿、要塞としての機能を果たした街に残る砦や大砲、細長い路地を抜けると見えてくる溢れんばかりの鮮やかなピンク色のブーゲンビリア。そのほか、青やエメラルドグリーンのきらめく海、太陽をたくさん浴びて育った地中海の食材を使った美味しい料理など……「地中海の宝石」の名にふさわしいこの小さな島国について、時間を忘れてしまう勢いで語ることができます。

 次なる旅行者・留学者のために情報を発信していこうと思いつくままに活動を始め、この国をもっと知ってもらうべく「マルタのガイドブックを出版したい!」と行動を起こし……夢を叶えることができたわけですが、初めてマルタという国の名前と存在を知った日から5年以上経った今、あらためてマルタの何が私をこのような行動に駆り立てたのかを考えてみることにしました。

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路地や階段に並んだテーブルで、カプチーノやビールを飲みながら過ごす人たちとゆるく流れる時間。石造りの建物の間を吹き抜ける風が心地よい。

 

◆時代の波に乗ってマルタブーム到来の兆し?

 「インスタ映え」という言葉は、今年2017年の流行語大賞を受賞しましたが、たしかに旅行者や留学生の方が撮影したマルタの街並みや観光スポット写真を、SNSを通して目にする機会が年々増えてきたように感じます。

 街で、ビーチで、そして何気ない路地裏で、「いいね!」をたくさんもらえそうな写真を撮ることができる……先ほども書いたように、美しい世界遺産の街並みや、透き通る青さの海など、思わずシャッターを切りたくなる景色が至るところにあるのは、マルタの魅力の1つでもあるでしょう。その写真を見た人たちが現地に行ってみたいと思ってマルタを訪れ……と、マルタの知名度もだんだん上がってきて、私が初めて訪れた2012年に比べると、現地で日本人旅行者と留学生に遭遇する人数は明らかに増えているなと実感します。

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今の時代にぴったりハマる「インスタ映え」する風景。でも流行が廃れたって、この島国の良さは変わらない。

 

◆写真だけでは伝わらないもの

 ただ、実際に行って・観て・住んでみて、そして本を書いたことであらためて深くマルタに向き合って辿り着いた、私を虜にしたマルタの魅力の正体とは……先に書いた美しい風景ではなく「エンターテイメントに溢れすぎていないところ」。少し言葉を変えると"程よい不便さ"だと感じています。

 バスは時刻表通りにこなくていい加減だし、乗車人数が多いと無視して走り去っちゃうし、マルタの人も往々にして時間にルーズだし。"程よい"という表現になるのは、好きになったからこそかもしれません。しかしながら、待ちぼうけ中のバスの停留所や、特にやることもなくのんびりぼーっと過ごすカフェで、地元の人や観光客の人と、ふとしたことからおしゃべりが始まる。そのひと時言葉を交わした人たちとのふれあいは、不便さがもたらしてくれたプレゼントのように思えます。

 私が6歳の時から、マルタへ留学する37歳までの間に過ごした四国・愛媛にも共通していると感じるのですが、マルタには田舎ならではの不便さと、逆にそこから生まれる居心地の良さがあるのです。頭に巡らせてみて浮かんでくるのは、わたしの故郷で「ほーかね、よー来たね」「気をつけて行っておいでよ」と方言まるだしで柔らかな言葉と優しい笑顔を向けてくれるおじちゃん、おばちゃんに感じるのと同じようなゆるやかな温かさ。マルタの人たちに多い、ちょっとぽっちゃりした体型も、そのような温かさを安心感や感じさせてくれるのかも……。

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時間になっても現れないバスにやきもきしている私に、「バスは待っていたら来るものよ」と暑い中マイペースに編み物をする地元のおばさま。時計を気にするよりも”マルタ時間”の中で、今という時を楽しみなさい、と教えられたような気がする。

 

◆少ない、足りないから生まれる価値

 本のプロローグにも書いたように、長期滞在の10代〜20代の若い留学生の子たちは、マルタの観光スポットを早々にまわり切ってしまい、「飽きた」とよく口にしていました。日本と、ましてや東京と比べると、娯楽も情報も物も移動手段も、何もかも「物足りない」。その年代の子たちにとっては、そりゃあエンターテインメントはたくさんある方が楽しいし「物足りない」「飽きた」と感じるのは分かる気がします。

 一方、同じ年代のヨーロッパの子たちはというと、ヨーロッパ屈指のリゾート地であるマルタを満喫し、毎日とにかく時間があったらビーチ・ビーチ・ビーチ! 真っ黒に日焼けした肌で本国へ帰っていくのが、「リゾートを満喫して、充実した時間を過ごした私」と誇らしいようです。マルタには多い、ゴツゴツした岩場のロックビーチであろうと、所構わず寝転び、マルタの太陽を全身で浴びて日光浴。いわゆる"何もしない時間"の楽しみ方を知っている、バカンスがある国の人たちと、そうでない日本人との時間の使い方の違いは顕著だなと思ったものです。

 私は、少々「物足りない」中で生活をしたことで、静かに自分を見つめる時間や、人と向き合って交流する時間を持つことができました。足りないのではなく、あるものの中で暮らしていく知恵を見つけて楽しむことができれば、生活することで自然と穏やかに心が整う――37歳という年齢で留学した私にとっては、それがとても居心地がよく、身も心も頭の中もクリアになりました。

 また、生まれ育った場所から離れ、国境を越え、異なる国でも自分の仕事を生み出し生活していく、そんな移住した人たちと現地で多く出逢ったことで、「帰国したら日本で転職活動をしなきゃ」と思っていた自分の感覚にさえ、「あれ? 私はなんで日本に帰らなければ、日本で仕事を探さねば、と思っていたのだろう? 自分が働きたいこと、住みたい場所、したいことがあれば、どこを選んでもいいし、選ぶことは自由なのではないか」と疑問を抱くようにもなりました。これまで40年近く生きてきてガッチガチになった固定観念が、マルタで生活したことによってパーンと一気に外れてしまったのでした。

日本の田舎や島でも同じような体験はできるかもしれない。しかし、異国の地で、異なる言語を使って生きる中での”物足りない”暮らしは、東京23区の半分くらいの面積しかないこの小さな島国でしか味わえないことなのでは?

日本の田舎や島でも同じような体験はできるかもしれない。しかし、異国の地で、異なる言語を使って生きる中での”物足りない”暮らしは、東京23区の半分くらいの面積しかないこの小さな島国でしか味わえないことなのでは?

 

◆行った人だけが見つけられる宝物

 ガイドブックは、年齢・性別問わず老若男女たくさんの方に読んでほしいと思っています。ただ、特にどんな人に読んでほしいかと問われると、働く女性たちです。仕事を辞めて海外生活や語学留学をしてみたいと考えている、あるいは退職せずとも、リセットの意味で留学や旅をしたいと思っている、何かしら転機を迎えた女性たちです。

 次に行く人たちのために、私が伝えられること、伝えたいこと。ありったけの知恵を絞って、情報を足で稼いでかき集め、応援してくれる人々の力も存分に借りて、その全てを本に詰め込みました。

 語学留学に長年憧れを抱いていた私のように、「いつかはマルタへ!」と思いながら、夢見ている人たちもご覧になっているでしょうか? 行くのを決断するまでに、何度もためらうことがあるかもしれません。それでも、マルタの地へ降り立つその時まで、妄想を膨らませ、ワクワクした気持ちで出発までの日々も楽しみながら過ごせますように。そして、行ってからは妄想していた何倍もの充実した日々を送れますように。そんな思いで書きました。

 ブログやSNSやメールで、留学や旅行から帰ってこられた方から時折頂くメッセージには、興奮冷めやらぬ様子で綴られた現地でのエピソードとともに「マルタすっごい良かったです!」「マルタにして良かった!」「マルタ留学を決断して良かったです!」と書かれています。その「良かった」は人それぞれ。ある人は「海も街もとてもキレイで心が癒された」、またある人は「美しい景色も良かったけど人との出逢い。一生の宝物!」など。

 「地中海の宝石」と呼ばれる小さな島国には、美しい観光地以外にもたくさんのきらめきが詰まっています。マルタを訪れるたびに知らなかった絶景やステキなお店がまだまだ出てくるし、はたまた偶然から起こる人との出逢いもあるし、その時限りとしか言いようのないゆったりとした空気感もある。

 ガイドブックに載っている場所を訪れる道中にも、あなただけが発見できる宝物のような場所があるかもしれませんし、巡り合った人・物・事から心ゆさぶられる新たな価値観を見い出すこともできるかもしれません。きっと、マルタという宝箱の中には訪れた人の数だけ宝物が眠っているのでしょう。

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◆留学するなら>おすすめ留学エージェント

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◆旅をするなら>おすすめオリジナルツアー

H.I.S.さんとのコラボ企画!『リセット女子旅―MALTA―』
2018年、一緒に旅しませんか? 著者・林花代子プロデュース&同行のマルタツアーが募集開始!

HISツアー


*日程 2018年3月10日(土)~3月16日(金)〈4泊7日〉
*旅の4つのポイント!
1.在住者とのふれあい
2.五感が喜ぶアクティビティ
3.ゴゾ島で1棟貸切! ファームハウス宿泊
4.マルタもゴゾも、定番もレアなスポットも観光
▶詳細・お申込み https://eco.his-j.com/html/study/malta/
▶ツアー詳細はブログもご覧ください https://ameblo.jp/malta-studyabroad/entry-12333811067.html

 

◆イベント情報

1)祝・2018年、マルタは欧州文化首都イヤー! マルタ留学・旅行した人&したい人ギャザリング【交流会】
マルタに留学・旅行した人としたい人で情報交換して、マルタ話で盛り上がりましょう!
*日時 2018年1月28日(土) 18:30~20:30
*場所 レストランマルタ(新橋)
*参加費 ¥3,800 料理+1ドリンク
▶お申込み https://peatix.com/event/334360

2)好きすぎて仕事にまでしちゃいました! 私が伝えたい【マルタ・北欧・ベトナム】の魅力
マルタ・北欧・ベトナムが好きな方はもちろん、一人旅が好き、大好きな旅を仕事に繋げたい、という方にもおすすめ!
*日時 2018年1月31日 (水)  19:30~21:00
*場所 H.I.S. 旅と本と珈琲とOmotesando(表参道)
*参加費 ¥2,000 ベトナム産シングルオリジンティー1杯付き
▶お申込み https://peatix.com/event/328961/

 

(了)

書籍『まるごとマルタのガイドブック』は全国の書店にて好評発売中です。