あんぱん ジャムパン クリームパン 青山ゆみこ・牟田都子・村井理子

2020.4.26

03ひとりぼっち

 

突然コロナがやってきた。
いろんな不便と、不安と、怒りを抱えながら、毎日を過ごす。
私たち、これからどうなっちゃうんだろう。

でも、みんなでおしゃべりすれば、少しは気が晴れるかも。
女三人による交換日記。


ゆみねえ、むっちゃん、お元気ですか? きっと、お二人とも元気で過ごしておられると思います(Twitter見てます)。去年はおふたりと楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございました。今年もまた、元気にお会いしたいです。そのときは再会を祝って乾杯しましょう。

さて、新型コロナウイルスが世界で猛威を振るっています。もうそろそろ、そんな報道にも疲れてきましたよね。日本でも、感染者は増えています。もちろん、死者数も。昨日は、非常事態宣言が全国に拡大されました。多くの飲食店や商業施設が営業の自粛を余儀なくされ、窮地に陥っています。学校も、全国的に休校となって、そろそろ一ヶ月半が経ちます。幸いなことに私も家族も元気で暮らしていますが、私自身は考え込むことが増え、仕事が手につかない状態です。営業を自粛する書店も増え、ションボリです。寂しいな。信じられない。なぜ私は、こんなにも多くのことを目撃する人生を送ってるのかなって、頭を抱えています。

また深刻に考えちゃって! と思われるかもしれません。自分でも、私らしくないことをやっていることは自覚しています。緊急事態だからでしょう。連日報道されることが、あまりにも衝撃的で、混乱しているのかもしれません。でも、考えれば考えるほど、いま、この状況を目撃している私は、何をしたらいいのか、なぜこんなことになったのか、なぜこの時代に生きているのか、考えずにはいられないのです。

唐突に書いてしまって申し訳ないのですが、私は、ひとりぼっちになりました。私が子どものころ、木造の小さなアパートで一緒に住んでいた家族は、全員、もういません。この世には私しか残っていないんです。だから、私はひとりぼっち。実際には、自分の家族がいるのだからひとりぼっちじゃないのだけれど、それでも、私はひとりぼっちだなって、強く感じています。私の心の真ん中にずっと住んでいるあの家族は、静かに、ただそこにいるだけの存在になってしまいました。幸せや喜びを感じるたびに、同じように感じることができない、心の中に静かに存在しているあの人たちのことを考えます。自分の幸せのなかに、彼らを失った切なさを、悲しさを、どんどん注ぎ込むようにして暮らしています。幸せがどんどん薄くなってしまうのです。むかし、節約家のおばあちゃんが作ってくれたカルピスみたいに、すごーく薄い感じ。

家族を失うって、こういうことなんだなと噛みしめています。見せてあげることができなかった風景を、感じさせてあげることができなかった喜びを、ずっとずっと、想像して、それでも生きていくことなのだと。大げさかな。

連日、増えていく死者数が淡々と報道されますが、その何倍もの人々が、私と同じような喪失感を抱えるのだと思うと、悲しくなります。

ただ、こんな状況でも、自分ができることってたぶんあるのだろうと考えています。諦めずに、自分の仕事を続けること(つまりこうしてものを書いたり翻訳したりだ!)、それから、元気でいること! それが大事なのかな。

なんだか愚痴っぽくなってしまったし、暗くなってしまった。ごめんなさい。とにかく、お二人とも元気でいてくださいね。お会いできる日を楽しみにしています。

村井クリームパン理子

 

(写真)パン屋さんでもらったパンの耳をラスクにしたよ。