ニューヨークで考え中 近藤聡乃

2024.3.21

三百回記念企画 編集後記

 連載三〇〇回記念企画として、読者の皆様に選んでいただいた「ベスト・オブ『ニューヨークで考え中』」についてご紹介させていただきました。たくさんの方からご回答をお寄せいただきました。改めてお礼申し上げます。連載の中で取り上げ切れなかったエピソードを、皆様からのコメントと合わせてここでもいくつかご紹介しようと思います。

 

第百四十八話 誰か一緒に

 連載ではこれまで食べ物にまつわる様々なエピソードが登場しましたが、その中でダントツの票を集めたのがユダヤ料理である「マッツアボール」を取り上げたこちらの回。実際にマッツアボールを試してくださったという読者の方もたくさんいらっしゃいました。

「何年も生きていてまだまだ知らない食べ物がこの世にあるんだ、という発見とマッツァボーという道のサッパリ系の何かに対して共感でビビビビビと震えました。友だちにもこの回を読ませて、東京のユダヤ料理屋を探し、マッツァーボールを一緒に食べに行きました(はしれめろすさん)」

 

第七十五話 嫌いな野菜

 続いては、日本ではあまり馴染みのない野菜、芽キャベツにまつわる回。こちらも、連載をきっかけに初めて試してみました! という声を複数いただきました。

「スーパーで芽キャベツを見るたびにこのエピソードを思い出します。このエピソードを読んでからたまに会う人に子どものころ苦手だった野菜は何か聞いてみたりすることが増えて、世界中の子どものころ苦手だった食べ物が気になるようになりました(とんちこぼうずさん)」

 

第十三話 ベーグル考 その三

 そして、ニューヨークと言えば思い浮かぶのがベーグルです。連載初期に登場したベーグル屋さんにまつわるシリーズから、具の「Tofu」のインパクトが鮮やかなこちらの回をご紹介します。

「”豆腐”の発音がとても印象的でした。当時、同じ時期にこの本を読んだ友人といつかNYに行く時のために、と豆腐の発音を練習したのが今でも強く残っています(Yukiさん)」

 

第百三十話 あのお菓子

 アメリカ人のパートナーが描写するどら焼きがなんとも美味しそうだったこのエピソードもランクイン。

「「ゴールデンブラウンのケーキに甘いジャムが挟まってるあのふんわりした(お菓子)とどら焼きを食べるたびに復唱しています(人生B面4曲目)」

 

第二百六十八話 日本からの旅人

 食べ物以外のエピソードでは、海外で暮らしていらっしゃる方からならではの共感の声も届きました。

「フランスに外国人として住んでいます。ヨーロッパ各地を旅行するたびに、『水が合う・合わない』という感覚を感じますし、家で食べる簡単な日本食のおいしさもよくわかります! あらゆる場所に住むことはできないからこそ、偶然縁があって得ているこの生活を大切にしたいな、と思えました(Eplliseさん)」

 

第百七十八話 日々の花 その二

 最後にもう一話ご紹介するのは、こちらの回。この方以外にも、ご自身の思い出と重ねて読んでくださっているのですね〜と感じられるご回答がたくさんあり、近藤さんとともにジンとしてしまいました。

「実家でも母が切り花を花瓶に生けてくれていました。実家を出てパートナーと暮らしてからは切り花のことなんて忘れていましたが178話を読んでそういえば、と思い出しました。家族のために花を生ける近藤聡乃先生と母は同じ気持ちだったのかしらと思ったりしました。先日、パートナーがお誕生日だったのでお花を飾りました。なんだか良い気持ちでした(はるかさん)」

 

 世界中どこで暮らしていても、嬉しいことも悲しいことも起きる。それでも続いていくのが日々の暮らし。ニューヨークの近藤さんの生活ぶりを通じて、改めてその尊さや厳しさを感じていただけたらこんなにうれしいことはありません。引き続き「ニューヨークで考え中」をどうぞよろしくお願いいたします。(担当編集・田中)