薄暮の光でセノーテを ― ユカタン半島上映記 小田香

2023.4.11

02ユカタンへ 4/9

ユカタン半島の小都市マニでの野外上映。筆者はメキシコへの途上にあった。

映写のための自家発電。

 04:45起床。コーヒーとヨーグルトを摂ってパッキングを仕上げる。家を留守にする時間が長いので、ガス栓、給湯器、戸締まり他を何度もチェックして、06:10最寄りの駅に向かう。

 4年ぶりの海外渡航。8:30伊丹から羽田へ。羽田から成田まで、自力で行かないといけないので、リムジンバスを選択。乗車賃が3200円もして驚いた。1時間ほどで成田に着き、アエロメヒコ航空のカウンターを探す。どこにあるのかわからなかったので案内の人に聞くと、北ターミナルの端っこにあった。チェックイン。空港の両替所で手持ちの現金をドルに。予約しておいたグローバルwifi中速600GBをカウンターでピックアップして、一息ついた。

 お腹がすいたと思ったので、空港内の適当なカフェでアボカド&何かのキッシュとジンジャエールをいただく。お腹がすいていると思ったのだが、食べ始めたら実際はそんなに空いていなかった。伊丹でサンドイッチを食べたからかもしれない。14:25成田からメキシコ・シティへ。

 久しく長いフライトに乗っていないので、身体がもぞもぞしないか心配だった。メキシコ・シティまでは約12時間。国際線の機内映画ラインナップを確認してたらすぐに機内食が出てきた。

 パスタ OR??(聞き取れなかった)だったので、聞き取れなかった方を雰囲気だけ真似てお伝えしたらハンバーグ。おともにXX(ドスエキス)ビール。『トップ・ガン:マーベリック』と、最新のマトリックスを続けてみて、眠ろうと試みたが、寝付けなかった。

 席でむずむずする身体を慣らしながら耐え、メキシコ・シティに到着した。メリダへの便が1時間強で出発だったので、急いで入国検査へ。並んだら間に合わない、と感じる列だったので、交通整理をしている方に説明して優先ラインに入れてもらった。メキシコ時間(4/9)13:25メキシコ・シティからメリダへ。

 メリダまでのフライトは1時間ほどだったが、こちらでは睡魔がきた。もう少し長いフライトでも良いのに。なんのトラブルもなく、機内でも空港でも親切にしていただきメリダに到着したので、ぽっーとしていた。スーツケースが流れてこない。コンベアの運転がそのうちに止まって困ったとなった。そのへんにいる人に聞くと、「出てアエロメヒコのカウンターでリポートしてください」。

 出るとマルタとアウグスト(『セノーテ』ではじぶんの助手、現場制作的役目、フィールドレコーディングを担ってくれた。メリダ出身)が出迎えてくれた。再会に顔が緩み、本当にまたメキシコに来れたんだなと実感することができた。5度目のメキシコ。スーツケースのことをカウンターで説明し、マルタとアウグストに助けられながらレポートをつくった。

 カウンターの方が言うには、確約はできないがおそらく次のメキシコ・シティからの便でやってくるとのこと。メキシコ・シティとメリダ間の乗り継ぎの時間が短すぎたのだろうか。空港で待っていてもしかたがないので、今日するべきことをすることにした。16:30。

 空港には両替所がなく、本日の滞在先であるアウグストの家近くのモールに向かった。ドルをペソに。サングラスを忘れたマルタと、サングラスをもっていないじぶんには日差しがきつすぎたので、そのままモールでサングラスを購入した。ポラロイドのサングラスがあったのでそれに。普段あまり買い物をしないためメーカーや名前に明るくない。

 アウグストの家の近くの海鮮系食事処で、タコと魚と海老のシェビーチェ(魚介マリネ)、海鮮タコス、モデロビールで夕食とした。ビールを頼む際に、「何か入れるか、付けるか」というよくわからない質問があり、よくわからないまま「入れる付ける」と返事をすると、ジョッキの縁に真っ赤なチリがついている。モデロビールが本来どんな味かを知るため、「入れる付ける無し」でもう一本お願いした。

 マルタとアウグストから、今回の旅のおおまかなプランの説明を受けつつ、ここ数年の日々について話し、おたがいの情報をアップデートし合う。マルタもアウグストも自身の作品を監督としてつくっているフィルムメーカーだ。今取り組んでいるプロジェクトがどのフェイズにあって、そこにどんな困難とやりがいがあるか共有してくれる。

 各々複数のプロジェクトを抱えているにもかかわらず、今回の巡業を準備してくれた。撮影中にお世話になった人たちに上映のことをお知らせできるよう、できる限り連絡をとってくれている。頼もしい友人、有り難いチーム。

 食事後、近くのスーパーマーケットで水を購入している時に、空港からスーツケース到着の電話をもらう。ピックアップしお土産や薬類の安否を確認21:00。
 スーツケースと共にアウグストの家に到着。リビングのテーブルにデイリー・ユカタン新聞があり、『セノーテ』上映の掲載欄を見せてくれた。ベン・アフレックさんとマット・デイモンさんが大きくうつるカラーページに、『セノーテ』も存在している。

 シャワーをかりてさっぱりとし、ベッドに入った。30時間以上まともに寝ていないので身体は疲れているのに、寝付けない25:00。

 大阪からユカタンへ移動している間にも、ポムーチとマニという二つの町で野外上映を実施してもらった。

ポムーチでの野外上映

 (4/10)07:00、横たわったまま朝に。様々な鳥が鳴いている。
 (4/10)09:00-13:00、アウグスト家近所のカフェで朝食後、「ユカタンへ 4/9」を書く。