亜紀書房の本 試し読み あき地編集部

2021.7.19

07笛美『ぜんぶ運命だったんかい——おじさん社会と女子の一生』(7月20日発売)——社内結婚格差

 


「#検察庁法改正に抗議します」のTwitterデモ仕掛け人による、初の著作!


笛美
ぜんぶ運命だったんかい——おじさん社会と女子の一生

7月20日(火)発売!

税込 1540円


男性中心の広告業界でがむしゃらに働いてきた20代。
気が付けば、同世代の男性は結婚し、仕事でも飛躍している。
なのに自分は彼氏もできない。
焦って婚活したものの、高学歴・高所得・仕事での成功が壁となる。

容姿で判断されたり、会議で意見が通らなかったり、男性との賃金格差だったり、——なんだか辛くて生きにくい。

あるとき、その理由がわかった。
それは、女性がひとりで生きていくことが難しくなるように、男性に依存しなければいけないように、この社会が作られているからだった。

「…………ぜんぶ運命だったんかい」


ひとりの女性がフェミニズム、そして社会活動に目覚めるまでを涙と笑いで綴るエッセイ集。

 

《『ぜんぶ運命だったんかい』の一部内容を試し読み公開!》

「ダサピンク現象」……………………公開中
「もっと上に、もっと下に」…………公開中

 


社内結婚格差


 男性の先輩や同僚たちは、次々に結婚していきました。女性である私でさえ会ったことのないような、天女のように綺麗で優しそうな女の人たちと。奥さんたちは家庭に入って、先輩たちの身の回りのお世話をやってくれるようでした。結婚しても彼らのライフスタイルは変わらず、独身時代と同じように深夜残業をし、コンビニや外食でごはんを食べていました。
「お前もそろそろ結婚しないとやばいよ」「女性の独り身は惨めだよ」「30になると卵子が老化するんだよ」と男性の同僚に言われるようになりました。
 卵子の老化のことはよくニュースで言われるようになり、私はとっくの昔にそれを知っていました。
「そういう自分はどうなの?」と聞くと、「男は30過ぎても結婚できるし、70になっても子作りできるから心配ないんだよ」と言われました。


ある女性社員が妊娠したとき、「なぜこのタイミングで妊娠するんだ」と陰で言われているのを聞きました。いつか私が妊娠したときも陰でそう言われるのでしょうか?


 もし結婚したらどんな生活になるんだろうか? 自分の家族を振り返ってみました。うちの両親は共働きでした。お母さんは残業は少ないけど、フルタイムで仕事をしながら毎日ごはんを手作りし、掃除や洗濯などの家事もこなしていました。おばあちゃんも家にいて、私たちの世話をしてくれました。お父さんは子煩悩だったけど、あまり家事はせずに新聞を読んだりテレビを見ていた記憶があります。


 でも私は結婚したり子供ができたらどうなるんだろう? 実家からとても遠くにいるし、お母さんと違って仕事も残業がある。というか残業が多い。子供を産めば、育児という20 年間も続く長期プロジェクトに携わることになる。今の仕事でさえ大変なのに、正直やっていける気がしない。想像するのさえ怖い。


 働きながら子育てをしている女性のロールモデルをネットで検索しました。大企業で総合職として勤めながら、子供を2人育てた管理職の女性が出てきました。早朝に起きて、子供が寝静まったら深夜まで働いて、めちゃくちゃな生活を乗り越えたとのこと。この人はスーパーウーマンなのだろう。でも私は凡人だからいまの仕事を維持しながら働いていくなんて無理だ。


「結婚は頭で考えたらできない」「結婚は勢い」とも言われます。でも何十年も人生を共にし、しかも子供を育てるかもしれない人を勢いで考えられる気がしない。もしうまくいかなくて離婚するのは恥ずかしい。


 じゃあずっと仕事中心の人生を生きるのか? たしかに仕事は大好きだし天職だと思っているけど、24時間ずっと仕事のこと考えて賞をとったりする生き方を一生続けたいのだろうか? 一度ヒット作を出しても、何度も何度もヒット作を出し続けなければ競争に勝つことはできない。誰も支えてくれる人はいないから、自分で自分を支えなければいけない。専業主婦の奥さんにサポートしてもらえる男性クリエイターに、私は太刀打ちできるのだろうか?
 もしかしたら自分は、仕事をし家庭を養う男としても不良品で、家事や育児を担う女としても不良品なのではないか? ひとつだけたしかなのは、子供を産みたいならタイムリミットがあるということ。自分は女性として不良品であるからこそ、少しでも婚活市場で価値があると言われる20代のうちに結果を出す必要があること。仕事で確固たる地位を築き、パートナーを見つけて妊娠するということを、20代のたった数年でこなさなければならない。……それはまるで時限爆弾を突きつけられているようでした。


 なぜ女性だけが若いうちに出産をするという責任を押し付けられているのか? なぜ男性だけが結婚しても子供が生まれても、ライフスタイルを変えなくていいのか? もし時間制限がなければ、どんな生き方をしたかったのか? そんな発想はとうてい出てきませんでした。


〈社内結婚格差・完〉

 


「#検察庁法改正に抗議します」のTwitterデモ仕掛け人による、初の著作!


笛美
ぜんぶ運命だったんかい——おじさん社会と女子の一生

7月20日(火)発売!

税込 1540円

【もくじ】

■ おじさん社会と女子の青春
■ おじさん社会と婚活女子
■ おじさん社会の真実
■ おじさん社会からの脱落  
■ おじさん社会への逆襲
■ 声を上げてみたくなったら
■ あとがき

 

笛美『ぜんぶ運命だったんかい』の試し読みは今回で終了です。
ぜひ書籍をお手に取って続きをご覧ください。